造語法について(合成法・縮約・混淆・借用・文字による方法・転成・逆成)

「造語法」について「日本語教育能力検定試験合格に必要な知識」という点から、まとめてみました。
「造語法って、結局いくつ覚えたらいいの?」という方、この記事の内容で十分だと思いますので、参考にしてみてください。
最後まで読んでいただけたら、下記のことがご理解いただけます!

造語法 ☆☆☆☆★

造語法とは、新しい単語を造り出す方法のことです。方法は大きく分けて2つあります。

① まったく新しい語をゼロから作り出す。これを「語根創造」と言います。
現代において、この方法で作られるのは、擬音語・擬態語以外は、ほとんどないとされています。
現代までに、いろいろな概念が言語化され、他の国からの借用(カタカナ語等)も数多くなされたからですね。

② 既存の単語から新しい語を作り出す方法。この方法には、下のようなものがあります。
「合成法」「縮約」「混淆」「借用」「文字による方法」「転成」「逆成」
種類は多いですが、1つ1つは簡単ですので、ご安心ください!

①の説明は、ここで終わりです。
ここより下は、全て「② 既存の単語から新しい語を作り出す方法」の説明です。
では、1つずつ、見ていきましょう!

合成法 ☆☆☆☆★

合成法とは、造語法のうち、複数の形態素を合わせて、語を作り出す方法のことです。
合成法は造語法の中で、最も生産性が高いようです。代表的なものに、「複合」と「派生」があります。

◇ 複合
複合とは、2つ以上の語彙的形態素(内容形態素)が合わさることです。
言い換えると、2つ以上の具体的な意味内容を持つ語が合わさることです。

例:本+棚→「本棚」 草+花→「草花」 食べる+終わる→「食べ終わる」 船+酔う→「船酔い」

合成語のうち、複合によってできた語を「複合語」といいます。

◇ 派生
派生とは、語彙的形態素(内容形態素)に接辞などが合わさることです。
言い換えると、「具体的な意味内容を持つ語」に「単独で語を形成できないもの(接辞等)」が合わさることです。ちょっと難しい説明ですが、例を見たら、すぐにわかります!

例:茶 意見 完成 関係 真っ白 高 楽し 効率 春めく 大人っぽい

お茶の「」や「高さ」の「」など、それ自体で語を形成できないものを「接辞」といいます。
「茶」(具体的な意味内容を持つ語)に「お」(接辞)が合わさって、「お茶」という語ができます。

合成語のうち、派生によってできた語を「派生語」といいます。

ちなみに、接辞のうち、お茶の「お」のように、前につくものを「接頭辞」、高さの「さ」のように後ろにつくものを「接尾辞」といいます。

長くなりましたが、難しく考えないでください。
「合成法=2つ以上の要素を組み合わせる方法」です!

「複合語」「派生語」のほかに「畳語」もあります。これらはいずれも「合成語」の下位区分です。
「合成語」についての詳しい説明はこちらをご覧ください。

語構成について(単純語・合成語・複合語・派生語・畳語)

縮約/省略 ☆☆☆☆★

縮約とは、造語法のうち、言葉を縮めて、語を作り出す方法のことです。「省略」ともいいます。
どこを省略したかによって「前省略型」「中省略型」「後省略型」「頭字語型」などに分けられます。

「前省略型」…例:アルバイト→バイト 警察→サツ
「中省略型」…例:セロハン・テープ→セロテープ 中華人民共和国→中国 桃太郎電鉄→桃鉄
「後省略型」…例:コンビニエンス・ストア→コンビニ ストライキ→スト 最高裁判所→最高裁
「頭字語型」…例:パーソナル・コンピュータ→パソコン 関西国際空港→関空
「文字による略語」…例:ATM PTA 女子高校生→JK セントラル・リーグ→セ・リーグ
その他の組み合わせ…例:文部科学省→文科省 焼酎ハイボール→酎ハイ 大韓民国→韓国

縮約によりできた語を「略語」といい、他にも下のようなものがあります。
中には、「実は略語だった」というものや、語形が変化しているものもあります。

うざったい→うざい 教科用図書→教科書 空オーケストラ→カラオケ
おはようございます→おっす 大阪大学→阪大(はんだい) 労働組合→労組(ろうそ)
告白する→告る メモ+する→メモる サボタージュ+する→サボる

全体的に、3泊の語(バイト等)と2拍+2拍→4拍(パソコン等)の語が多いですね。
日本人は「2拍+2拍=4拍」のリズムを好みます。

例を出しすぎてややこしくなりましたが、要するに「省略した語」です。
検定試験でこのような問題が出たら、「どこを省略したか」に注目してみてください!

混淆(こんこう) ☆☆☆★★

混淆とは、造語法のうち、(意味が似ている)複数の既存の言語の一部が混ざりあって、語を作り出す方法のことです。「混成」「混交」「混合」とも言います。

例:「やぶる」と「さ」が混ざって→「やぶく」
  「とらえる」と「つかまえる」が混ざって→「とらまえる」
  「リラ」と「クジラ」が混ざって→「ゴジラ」 

特徴は以下のようになります。

・意味が似ている語を混ぜる。
・1つの語の前半部分と1つの語の後半部分を混ぜる。例:「リラ」と「クジラ

混淆によって作られた語は「混成語」「混交語」「混合語」と言われます。
「混淆語」とは言わないようですが、全部「混」が入っているので、気にしないでください。

「頑張って覚えるから、1つに統一してくれ!」って、誰もが思いますよね!

残念なことに、検定試験の勉強において「~とも言う。」というのは多いです。

また、「混成語」は、英語では「portmanteau word」、略して「portmanteau」と言われます。
「(両開きの)旅行かばん」という意味です。日本語で「鞄語(かばん語)」と訳されます。

簡単に「かばん語」=「混成語」という理解でオッケーです。

ルイス・キャロルの「不思議な国のアリス」の続編、「鏡の国のアリス」で、パンプティ・ガンプティが、アリスに混成語を「1つの単語に2つの意味が詰まっている。両開きのかばんのようだ。」と例えたことから、「portmanteau」と呼ばれているそうです。

「かばん語」には以下のようなものがあります。

例:smoke+fog=「smog」 breakfast + lunch→「brunch」

いろいろな言葉が出てきましたが、結局は全部「混ざりあった語」です。

かえってややこしくなるかもしれませんが、最後に1点だけ…。

「混種」という言葉が「混淆」と同じ意味で使われることもあるそうですが、「混種」は一般的に、複数の語種「和語・漢語・カタカナ語」が混ざることを言いますので、こちらを先に思い浮かべてください。
混種語の例:「長ズポン(和語+カナカナ語)」「三色ペン(漢語+カナカナ語)」等
借用 ☆☆☆☆★

借用とは、造語法のうち、他の言語から語を借りてきて、語を作り出す方法のことです。
主に、外国語からの借用(外部借用)のことを言いますが、日本の地域方言からの借用(内部借用)もあります。借用によってできた語を「借用語」といいます。

外国語からの借用(外部借用) ☆☆☆☆★

外国語からの借用語の例を出します。
英語からのものが多いですが、検定試験で出題されそうな英語以外からのものも少し書いておきます。

◇ 英語  ペン ランチ テレビ ベッド 等
◇ ポルトガル語 煙草(たばこ)  歌留多(かるた) 合羽(かっぱ)
◇ オランダ語  珈琲(コーヒー) 硝子(ガラス)
◇ ドイツ語 アルバイト   ◇ サンスクリット語(古代インド語) 旦那 刹那
◇ ロシア語   イクラ セイウチ ◇ ※クメール語 煙管(きせる)
※クメール語…オーストロアジア語族のモン・クメール語派に属する言語。カンボジア語とも呼ばれる。

 
日本が多く取り入れた順は、「ポルトガル語→オランダ語→英語等」です。(※漢語はもっと昔から)
◇ ポルトガル語(16世紀中ごろ~17世紀初めごろ)
「煙草」「歌留多」のように漢字が当てられていて、日本語として定着している感があります。また、「たばこ」のように平仮名で書く語もありますね。
◇ オランダ語(18世紀ごろ~19世紀中ごろ)
「珈琲」「硝子」漢字が当てられています。ですが、平仮名で「こーひー」とは書きませんね。
◇ 英語等の言語(明治時代以降)漢字は当てられていません。
漢語は、借用語として認識されにくいですが、漢語も借用語です。但し、「梅(うめ)」「馬(うま)」のような語は、借用語ですが、「訓読み」で和語のように扱われ、借用語ではないという捉え方もあります。
日本の地域方言からの借用(内部借用) ☆☆★★★

下の例のように、日本の地域方言が共通語化した語もあります。

例:「しんどい」…京阪地域→共通語   「うざったい」…多摩地区→共通語

アイヌ語からの借用語も少し紹介しておきます。 例:「鮭(さけ)」「ししゃも」「ラッコ」
アイヌ語も「内部借用」になると思うのですが、どのテキストにも、はっきり書いていないので、一応、分けて書いておきました。

借用語は、ここに書いたもの以外にもいっぱいあり、特に英語以外からの借用語は見てみると面白いです。
興味がある方は一度、調べてみてください!

文字による方法 ☆☆☆★★

文字による方法には、「ローマ字表記の頭文字(イニシャル)をとる方法」や、「文字を分解したりする方法」などがあります。

◇ ローマ字表記やの頭文字をとる方法
  T+シャツ→Tシャツ  Vネック Uターン O脚 S字カーブ
◇ 文字を分解したりする方法
  九十九歳の祝い→白寿 八十八歳の祝い→米寿
・「動物のお医者さん」という漫画の主人公、西根公輝の「公」を片仮名に分解すると、
「ハ」と「ム」。この主人公「公輝(きみてる)」は、他の人に「ハムテル」と呼ばれています。
・「只(ただ)」をカタカナに分解すると「ロ」と「ハ」→「ロハ」で「ただ(無料)」という意味。(もう死語に近いですが、多くのテキストに書いてあるので、書いておきました。)

以上です。次に進みましょう!

転成 ☆☆☆★★

転成とは、造語法のうち、既存の語の品詞を変えて、別の品詞の語を作り出す方法のことです。

例:休む(動詞)→休み(名詞) 高い(形容詞)→高さ(名詞) 早い(形容詞)→早く(名詞or副詞)

日本語に多いパターンは以下のようなものです。

◇ 動詞の連用形、つまり「休みます」の「ます」をとったものが、「休み」名詞になる。
  話します→「話 or 話し」 金+持ちます→「金持ち」 持ち帰ります→「持ち帰り」
◇ 形容詞(イ形)・形容動詞(ナ形)の語幹に「さ」「み」「け(げ)」がついて、名詞になる。
  高い→高さ 慎重→慎重さ 悲しい→悲しみ 寒い→寒け 可愛い→可愛げ(名詞 or 形容動詞)
◇ 形容詞の語幹に「く」がついて、名詞や副詞になる。
  (名詞 or 副詞) 早い→早く 近い→近く 遠い→遠く
(副詞のみ→) すごい→すごく 軽い→軽く
◇ 動詞の連用形・形容詞の語幹に「げ」がついて、形容動詞になる。
 自信あります→自信ありげ 寂しい→寂しげ 可愛い→可愛げ(名詞 or 形容動詞)

このあたりは、転成の知識だけでなく、日本語の基本として理解しておくと、いろいろな問題に対応できそうですね!

また、上の「金持ち」「高さ」等、転成してできた名詞を「転成名詞」と言います。
(転成動詞・転成形容詞・転成副詞などはあまり言わないようです。)

転成のポイントは「品詞を変える」です!

逆成 ☆☆☆★★

逆成とは、造語法の1つで、語の1部の形態素を誤解する(または、そう見なすことにより)元の形態の語を新たに作り出す方法のことです。

逆成は、英語の「back‐formation」という現象を日本語に訳したものですので、
まず英語の「back‐formation」を説明したあとで、日本語の「逆成」を説明します。
これは少し難しいので、ゆっくり説明していきます。

逆成を理解する上で、「派生語」を思い出す必要があります。
この記事の最初のほう「合成語」のところに、「派生語」の説明がありますので、思い出してください!

派生語とは、「意味内容がわかる語」に「接辞」が合わさってできた語でしたね。

例:「茶」に接頭辞の「お」が合わさって「お茶」、「春」に接尾辞の「めく」が合わさって「春めく」

英語でも同じように、派生語があり、日本語と同じように作られます。

例:「swim」に接尾辞「-er」が合わさって、「swimmer」(スイマー)
  「instruct」に接尾辞「-or」が合わさって「instructor」(インストラクター)
  ※「-er」も「-or」も「~する人」という意味をつくる「接尾辞」。

このように、「元の語に接辞が加わる」のが、いわゆる「普通の作り方」です。

しかし、英単語の中には「普通の作り方」の逆の順で作られた語があります。
代表的な語は「edit(編集する)」です。
「edit」は下のような流れで作られました。

まず、フランス語「editeur」の借用し、「editor(編集者)」という英単語ができました。
その後、「editor(編集者)」の「-or」は本来、接尾辞ではないのですが、これを接尾辞と勘違いして(あるいは、故意に接尾辞だと見なして)、「-or」を取り除き、元々存在しなかった「edit(編集する)」という動詞を作り出しました。

これが「back‐formation(逆成)」です。
「edit」(意味内容を持つ語)から派生して「editor」が作られたのではなく、「editor」から、元々存在しなかった「edit」(意味内容を持つ語)が作られたのです。

他に下のようなものがあります。

「hijacker(ハイジャックした人)」(名詞)→「hijack(ハイジャックする)」(動詞)
「lazy(怠惰な)」(形容詞)→「laze(怠ける)」(動詞)

1番シンプルに言うと、逆成とは、「ふつうの派生語とは逆の手順で新たな語を作ること」です。
これだけで理解できれば、あなたは逆成マスターです!

さて、ここで問題となるのは「日本語に逆成はあるの?」というところです。
テキストによって、「ある」「ない」と書いてありますが、「ない」と書いたら終わってしまうので、

私は「ある」という体で書きます。

日本語では「たそがれる」「待ち伏せる」「狂い咲く」などが、逆成によってできた語だと言われています。
日本語では「動詞の連用形→名詞」が、いわゆる「普通の造語」「普通の作り方」です。

例:動詞の連用形、つまり、「休みます」の「ます」をとったものが、「休み」名詞になる。
  話します(動詞)→「話/話し」(名詞) 持ち帰ります(動詞)→「持ち帰り」名詞

しかし、「たそがれる」は、下のような「普通の作り方」の逆の順で作られました。

まず、先にあったのは「たそがれ」という名詞です。
その後、「たそがれ」を動詞の連用形と誤解し(あるいは故意にそう見なし)、「たそがれる」という動詞を作り出しました。

これが日本語における逆成です。
「たそがれる」から「たそがれ」が作られたのではなく、「たそがれ」から「たそがれる」が作られたのです。

他の語も同様です。「待ち伏せ」→「待ち伏せる」「狂い咲き」→「狂い咲く」

少し難しいですが、ご理解いただけたでしょうか?
「edit」「たそがれる」この2つで逆成が簡単に説明できれば、理解したと言えます!

まとめ ☆☆☆★★

いろいろ言葉が出てきましたが、1つ1つは難しくないです。最後に整理しておきます。
上の内容が理解できれば、覚えるのは下のような感じでいいと思います。

・造語法…① ゼロから新しい語を作る(語根創造)→擬音語・擬態語以外はほとんどない。
       ② 既存の単語から新しい語を造り出す方法。下全部。
・合成法 2つ以上の要素を組み合わせる方法→「複合」「派生」等
・縮約  バイト 関空 サボる ※「どこを省略したか」に注目
・混淆  ゴジラ やぶく→「カバン語」smog  brunch
・借用     外部借用 多く取り入れた順は漢語→ポルトガル語→オランダ語→英語等
     ※それぞれの国からの借用語にはどんなものがあるか。
     内部借用 しんどい うざったい
・文字による方法 Tシャツ Uターン 米寿 白寿 ロハ
・転成  ※品詞が変わる 休みます→休み 近い→近く
・逆成  edit たそがれる 待ち伏せる



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