日本語の教え方【日本語教師ではない方向け】【最終章 第5章 普通体・普通形について】

「日本語教師ではないが、日本語を教えることになった!」
「日本語教師ではないが、日本語の教え方をちょっと知りたい!」

という方に、読んでいただきたく、この記事を書きます。

これはズバリ、私が、「日本語教師養成講座の初日に、こんな講義を受けたかった!」という内容です。

いよいよ最終章第5章 普通体・普通形です。

日本語教師ではない方でも、この最終章までを理解していれば、専門的に教えることができるようになりますので、ゆっくりと読んでください!

第1章からの流れは、下の赤枠のようになっています。
4章までをご覧になっていない方は、ぜひ【第1章】から、お読みください!

第1章 「丁寧体と普通体」について
第2章 「品詞と述語」について
第3章 「補語」について
第4章 「活用」について
第5章 「普通体・普通形」について

第1章「丁寧体と普通体」第2章「品詞と述語」第3章「補語」第4章「活用」について書きました。

この第5章では、前半で「普通体」、後半に「普通形」について書きます。

「普通体と普通形って違うの?」って思いますよね?

⇒ほとんど同じなので、気にしないでください。読んでいくとわかります!

(※この2つの言葉は、日本語教師の間でも違いを明確にせず、曖昧に使っています。)

普通体

まず、「普通体」について書きます。
第1章で、「丁寧体」と「普通体」について、書きました。あの「普通体」です。

ちょっと思い出しましょう!

☆丁寧体の会話
Aさん:「それは 何ですか。」    Bさん:「アイパッドです。」
Aさん:「どこで 買いましたか。」  Bさん:「ヤマダ電機で 買いました。」

☆普通体の会話
Aさん:「それ なに?」      Bさん:「アイパッド。」
Aさん:「どこで 買った?」     Bさん:「ヤマダ電機で 買った。」

述語の部分(文の最後の部分)に「~です・~ます」を使うのを「丁寧体」、くだけた会話をする時に使うのを「普通体」と言います。

また、第1章で、日本国内のほとんどの日本語のテキストでは、「丁寧体」から勉強する。
その理由は「丁寧体のほうが簡単だから」と書きました。

では、「普通体はいつ勉強するの?」ということになりますが、

具体的に言うと、個人差はありますが、勉強を始めてから、2~4か月後ぐらいです。
つまり、それまでは、「丁寧体」でしか、話せないのです。結構おそいと思いませんか?

「どうして、そんなに遅いの?もっと早く教えたらいいのに…。」
これは自然な意見で、日本語教師の中にも、そのような持論を持っている人は多いです。

答えは『「普通体」を話すには、「動詞の活用」をマスターしておかないといけないから』です。
第4章で書いた「活用」特に「動詞の活用」ができて、やっと「普通体」が勉強できるのです。

では、ここで、第1章で書いた「丁寧体」と「普通体」をもう1度見てみましょう。

☆丁寧体
名詞述語文:「~です。」「~じゃありません。」「~でした。」「~じゃありませんでした。」
動詞述語文:「~ます。」「~ません。」「~ました。」「~ませんでした。」
イ形容詞述語文:「~いです。」「~くないです。」「~かったです。」「~くなかったです。」
ナ形容詞述語文:「~です。」「~じゃありません。」「~でした。」「~じゃありませんでした。

☆普通体
名詞述語文:「~(だ)。」「~じゃない。」「~だった。」「~じゃなかった。」
動詞述語文:「買う。」「買わない。」「買った。」「買わなかった。」
イ形容詞述語文:「~い。」「~くない。」「~かった。」「~くなかった。」
ナ形容詞述語文:「~(だ)。」「~じゃない。」「~だった。」「~じゃなかった。」

「丁寧体と普通体」は「名詞述語文・イ形容詞述語文・ナ形容詞述語文」に関しては、難易度に大差はありませんが、動詞の難易度は、大きく違います。

☆ 丁寧体 「買います・買いません・買いました・買いませんでした」
☆ 普通体 「買う・買わない・買った・買わなかった」

「丁寧体」は「買いま」まで、全部同じなので、「買います(マス形)」だけ覚えれば、全部話せます。

しかし、「普通体」は「買います」を「辞書形(買う)」「ナイ形(買わない)」「タ形(買った)」
「ナイ形+なかった(買わなかった)」に活用させなければなりません。難易度10倍です!

あと、動詞だけに注目しましたが、動詞以外も、容易ではありません。
学習者たちは、以下のような練習を繰り返し、やっと、普通体が話せるようになります。

教師:T 学習者達:S
☆ 丁寧体の練習
T:雨     S:「あめです・あめじゃありません・あめでした・あめじゃありませんでした」
T:寒い    S:「さむいです・さむくないです・さむかったです・さむくなかったです」
T:飲みます  S:「のみます・のみません・のみました・のみませんでした」
T:好き    S:「すきです・すきじゃありません・すきでした・すきじゃありませんでした」
T:※いい   S:「いいです・よくないです・よかったです・よくなかったです」

☆ 普通体の練習
T:忙しい   S:「いそがしい・いそがしくない・いそがしかった・いそがしくなかった」
T:いい天気  S:「いい天気だ・いい天気じゃない・いい天気だった・いい天気じゃなかった」
T:急ぎます  S:「いそぐ・いそがない・いそいだ・いそがなかった」
T:きれい   S:「きれいだ・きれいじゃない・きれいだった・きれいじゃなかった」
T:※あります S:「ある・ない・あった・なかった

いい」は特別。「いい・よくない・よかった・よくなかった」と教える。
あります」は特別。ルールから考えると「あらない」「あらなかった」になるが、
 特別で「ない」「なかった」と活用する。

このような練習を、考えなくても話せるようになるまで、山のようにしなければなりません。
特にⅠグループの動詞は、練習が必要です。
(※練習方法はいろいろあり、学校・教師によって違います。)

まとめると、学習者は以下の流れを経て、やっと普通体で話せるようになります。

丁寧体をマスター…「名詞述語文」「動詞述語文」「イ形容詞述語文」「ナ形容詞述語文」
動詞の活用をマスター…「マス形」→「ナイ形」「テ形」「タ形」「辞書形」等
普通体をマスター…「名詞述語文」「動詞述語」「イ形容詞述語文」「ナ形容詞述語文」

「普通体」をやっと話せるようになった学習者は「普通体」で話したがります!
ただ、学習者はだいたい若い人が多いので、普通体で話せる相手が、なかなかいません。

 

なので「先生、これ食べる?」とか、言ってくるやつがいます。 笑笑

もし、教えている学習者からこんなことを言われても、許してあげてください!
やっと話せるようになった普通体を使いたいだけで、悪気はありません。  たぶん…

普通体は、上に書いたもの以外にも、いっぱいあります。

下の枠内に、左に丁寧体の文、右に普通体の文を書きます。
普通体を勉強する頃には、左に書いた丁寧体の文は既に勉強しているでしょう。

丁寧体(丁)普通体(普)
丁:消しゴムを 借りてもいいですか。→普:貸しゴム 借りてもいい
丁:ここで たばこを すってはいけません→普:ここで たばこを すってはいけない
丁:家へ 帰らなければなりません→普:家へ 帰らなければならない
丁:京都へ 行ったことがあります→普:京都へ 行ったことがある
丁:昨日、映画を見たり、本を読んだりしました。→普:昨日、映画を見たり、本を読んだりした

ごちゃごちゃ書きましたが、言いたいのは、
「動詞の活用等、いろいろ勉強して、やっと普通体で話せるようになる。」ということです。

教える側は、いかにこれらの練習のサポートができるかどうかがカギとなります。

普通体の説明は以上です。続いては「普通形」です。

普通形

『「普通体」と「普通形」って、同じような感じだけど、何か違うの?』

⇒だいたい同じです。

強引に言うと、普通体を文の中に入れ混むときは、「普通形」と言います。

(※この2つは、日本語教師の間でも違いを明確にせず、曖昧に使っています。)


これだけでは、わからないので、下を見てください。

☆普通体の文  A:「張さんは 病院へ 行った。」
☆丁寧体の文  B:「張さんは 病院へ 行きました。」

☆「~と思います。」の文
C:「張さんは 病院へ 行った と思います。」
D:「張さんは 病院へ 行きました と思います。」

ABの2つの文は、場面・相手によって使い分けますが、文法的には、どちらも正しい文です。

Aは、文の述語(一番最後の部分)で、「普通体(行った)」を使っているので、普通体の文。
Bは、文の述語(一番最後の部分)で、「丁寧体(行きました)」を使っているので、丁寧体の文です。

CDを見ると、Cの文は正しいですが、Dの文は誤っています。

「~と思います。」の前には、「普通形(行った)」を入れ込まなければなりません。

このように述語で使うのではなく、文の途中に普通体を入れ込むときは、「普通形」と言います。

Dは「~と思います。」の前に、丁寧形を入れ込んでいるので、誤りとなります。×行きましたと思います。

学習者に教えるときは、下のように提示します。

  ふつうけい  と 思います。

あと、もう1つ書いておきます。

「文体」つまり「丁寧体か普通体か」は述語の部分で決まります。
述語が丁寧体なら「丁寧体の文」、述語が普通形なら「普通体の文」です。

CDは、述語で「思います」という丁寧体を使っているので、どちらも「丁寧体の文」です。
Cは途中に「普通形」を入れ込んでいるので、「普通体の文」と思ってしまいますが、述語が丁寧体なので、「丁寧体の文」です。

では、「~と思います」にいろいろな普通形を入れ込んでみましょう。

名詞    明日は   雨だ   と思います。
動詞    張さんは   行かない   と思います。
イ形容詞  明日は   寒い   と思います。
ナ形容詞  張さんは   親切じゃない   と思います。
その他   あそこは   たばこを 吸ってはいけない   と思います。
      張さんは   京都へ 行ったことがない   と思います。 等

上のように、「普通形」を文の中に入れ込むことにより、話せる範囲が一気に広がります。

これをマスターすれば、下のような文も話せるようになります。
少しだけ例を挙げます。いずれも初級で勉強する文です。

◇「 普通体 と言いました。」→ 社長は 9時に来る と言いました。
◇「 普通体 そうです。」→ 今晩は 雨だ そうです。
◇「 普通体 し、 普通体 し、~。」
   → フォンさんは かわいい し、 親切だ し、それに、頭もいいです。

では、最後に普通体を入れ込むときに、知っておかなければならないことを書きます。
もう1度、「普通体・普通形」を見てみましょう。名詞とナ形容詞の「~(だ)」の部分に注目してください。

☆普通体・普通形
名詞   「(だ)」「~じゃない」「~だった」「~じゃなかった」
動詞   「買う(辞書形)」「買わない(ナイ形)」「買った(タ形)」「買わなかった」
イ形容詞 「~い」「~くない」「~かった」「~くなかった」
ナ形容詞 「(だ)」「~じゃない」「~だった」「~じゃなかった」

私はいつも、「普通体・普通形」の名詞とナ形容詞の「だ」を「(だ)」と書いています。
これは「この部分は変わる」という意味です。

上の例で書いた「~と思います。」「~と言いました。」などの文は「普通形(~だ)」を、そのまま入れればいいのですが、「~だ」の部分を少し変えて入れ込む文もあります。

例として「~はずです。」を挙げます。 学習者に教えるときは、下のような感じです。

      ふつうけい      はずです。
   めいし →の な形  →な

☆ 名詞      張さんは るす はずです。
☆ ナ形容詞    張さんは 英語が 上手 はずです。

上のように、名詞の「だ」→「の」、ナ形容詞「だ」→「な」にして、入れ込みます。
(※名詞とナ形の「~(だ)」以外は変わらず、普通形をそのまま入れ込みます。)

学習者は慣れてくると、青の枠内のように書くだけで、意味がわかります。

他の例を、少し挙げておきます。「~(だ)」は「」になったり、なくなったりします。

◇「  普通形  ようです。」※ 名詞  ナ形
  →あの話は 本当 ようです。 マイケルさんは 納豆が 好き ようです。

◇「  普通形  んです。」 ※ 名詞 →な ナ形
 → 病気 んです。 スポーツが 苦手 んです。

◇「  普通形  かもしれません。」 ※ 名詞  ナ形
 →明日は 雨 かもしれません。 部長は パクチーが きらい かもしれません。

この「普通体・普通形」をがっちりと固めれば、その土台にいろいろなものが載ってきて、一気に上達する学習者もいます!
逆にここがフラフラなら、何も載りません。その時はもう1度、原点に返って基礎からやり直してみてください!

まとめ

第4章の「活用」と、この章の「普通体」が理解できれば、ほとんどの文が教えられます。
日本語のテキストは、教える順をよく考えて作られています。
「この課は何を教えるか」というところが見えてくるので、自身で分析することができるでしょう!

第1章から第5章までを超簡潔にまとめると、以下のようになります。

・第1章 「丁寧体」と「普通体」があり、学習者は「丁寧体」から勉強する。
・第2章 日本語を教えるのに、必要な品詞は下の5つ。
      「名詞・動詞・イ形容詞・ナ形容詞・助詞」
     日本語は述語が命!
      「名詞述語文・動詞述語文・イ形容詞述語文・ナ形容詞述語文」
・第3章 日本語は補語と述語でできている。=日本語は助詞と述語でできている。
・第4章 日本語は活用する(特に動詞)。活用なしでは何も話せない。特訓あるのみ!
・第5章 活用ができて、はじめて「普通体・普通形」が話せる。
     「活用と普通形」を教えられれば、日本語教師以外の方でも、専門的に教えられる!

第5章まで、長い文を読んでくださって、ありがとうございます。

これらはズバリ、私が、「日本語教師養成講座の初日に、こんな講義を受けたかった!」という内容です。
十分な内容ではなかったかもしれませんが、今後の「日本語指導」「日本語教師を目指す」上で、お役に立てれば、うれしく思います。

ありがとうございました!

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