日本語の教え方【日本語教師ではない方向け】【第1章 丁寧体と普通体について】

「日本語教師ではないが、日本語を教えることになった!」
「日本語教師ではないが、日本語の教え方をちょっと知りたい!」

という方に、読んでいただきたく、この記事を書きます。

「日本語を教えるにあたって、知っておきたい基礎知識」にフォーカスし、細かい文法は取り上げず、最低限必要な知識だけを書いていきます。極力、「専門用語」は使いません。

これはズバリ、私が、「日本語教師養成講座の初日に、こんな講義を受けたかった!という内容です。

「日本語教師を目指す方」にも、お役に立てると、うれしいです。

(※ここでの話は、日本人が勉強する「学校文法」ではなく、「日本語を母語としない日本語学習者に教える日本語教育」です。)

この記事では「日本語教師ではない方向け 第1章」として、【丁寧体と普通体】について書きます。

第5章まで書きます。全部読んでいただけたら、日本語教師ではない方でも、専門的に教えることができるようになりますので、ゆっくりと読んでください!

第1章 「丁寧体」と「普通体」について
第2章 「品詞」と「述語」について
第3章 「補語」について
第4章 「活用」について
第5章 「普通体・普通形」について


では、第1章は「丁寧体と普通体について」です。

丁寧体 普通体

日本語教育では、「丁寧体」と「普通体」、2つの文体を知る必要があります。

「文体=会話や文章のスタイル」という意味ですが、深く考えなくてもけっこうです。

では、いきなり質問です。下に、1⃣・2⃣の会話があります。
どちらが「丁寧体の会話」で、どちらが「普通体の会話」か、わかりますか?

会話 1⃣
Aさん:「それは 何ですか。」   Bさん:「アイパッドです。」
Aさん:「どこで 買いましたか。」 Bさん:「ヤマダ電機で 買いました。」

会話 2⃣
Aさん:「それ なに?」   Bさん:「アイパッド。」
Aさん:「どこで 買った?」 Bさん:「ヤマダ電機で 買った。」

簡単ですね。会話1⃣が「丁寧体」、会話2⃣が「普通体」です。
文字通り、会話1⃣のほうが「丁寧」だからです。

では、もう1つ、質問です。

日本語学習者(以下、「学習者」)は、「丁寧体」と「普通体」、どちらを先に、勉強すると思いますか?

「普通体でしょ?簡単だから。」

自然な感覚です。日本人は、子供のときから使っている「普通体の会話」を簡単に感じます。

ですが、ほとんどの日本語のテキストで、先に勉強するのは「丁寧体」
いわゆる「です・ます調」です。


理由は、ざっくり言うと、2つあります。

① 目上の人と話すときに、失礼がないように。
② 学習者にとっては、「丁寧体」のほうが簡単だから。

それぞれ、説明します。

① 目上の人と話すときに、失礼がないように

勉強し始めたばかりの学習者でも、「目上の人」と話す機会があります。

例えば、アルバイト先で、

「社長、それ なに?」「社長、それ どこで 買った?」

想像しただけも、ゾッとしますね…。しばかれそう…。
外国人だから、許してもらえることもあるでしょうが、そんな寛容な人ばかりではありません。

ですが、「尊敬語等の敬語(召し上がります等)」は使えないにしても、
「丁寧体(です・ます調)」を使えば、失礼にはあたりません。


② 学習者にとっては、「丁寧体」のほうが簡単だから


この説明は、少し長くなります。まず、下の枠内をご覧ください。
(※「○○述語文」という言葉は、今は無視してください。第2章で説明します。)
(※学校文法の「形容詞」は、日本語教育では「イ形容詞」、「形容動詞」は「ナ形容詞」と言います。)

☆ 丁寧体
◇ 名詞述語文
 「雨です」「雨じゃありません」「雨でした」「雨じゃありませんでした
◇ 動詞述語文
 「買います」「買いません」「買いました」「買いませんでした
◇ イ形容詞述語文 ※学校文法の「形容詞」
 「寒いです」「寒くないです」「寒かったです」「寒くなかったです
◇ ナ形容詞述語文 ※学校文法の「形容動詞」
 「静かです」「静かじゃありません」「静かでした」「静かじゃありませんでした

☆ 普通体

◇ 名詞述語文
 「雨(だ)」「雨じゃない」「雨だった」「雨じゃなかった
◇ 動詞述語文
 「買」「買わない」「買った」「買わなかった
◇ イ形容詞述語文
 「寒」「寒くない」「寒かった」「寒くなかった」
◇ ナ形容詞述語文
 「静か(だ)」「静かじゃない」「静かだった」「静かじゃなかった

「丁寧体」と「普通体」、どちらが簡単だったでしょうか?

「やっぱり、普通体のほうが簡単!短いから!」と思いますよね。

では、枠内の下線部のところだけ、見てみてみましょう。

☆ 丁寧体
◇ 名詞…「~です」「~じゃありません」「~でした」「~じゃありませんでした
◇ 動詞…「~ます」「~ません」「~ました」「~ませんでした
◇ イ形容詞…「~いです」「~くないです」「~かったです」「~くなかったです
◇ ナ形容詞…「~です」「~じゃありません」「~でした」「~じゃありませんでした

☆ 普通体

◇ 名詞…「~(だ)」「~じゃない」「~だった」「~じゃなかった
◇ 動詞…「買」「買わない」「買った」「買わなかった
◇ イ形容詞…「~」「~くない」「~かった」「~くなかった」
◇ ナ形容詞…「~(だ)」「~じゃない」「~だった」「~じゃなかった

「名詞述語文」「イ形容詞述語文」「ナ形容詞述語文」に関しては、難易度に大差はありません。

ただし、「動詞」の難易度は、大きく違います。

☆ 丁寧体 「買います」「買いません」「買いました」「買いませんでした」
普通体 「買う」「買わない」「買った」「買わなかった」

「丁寧体」は、全部「買いま」まで、同じなのに対して、「普通体」は、動詞が変化します。
このような変化を「活用」といいます。

みなさんも、学生時代に、こんな言葉を勉強しませんでしたか?
「未然形」「連用形」「終止形」などなど…。

「ついに出た!文法きらい!そんなの忘れた!」

心配ございません。これらを忘れても、日本語は教えられます!

「日本語の動詞は活用(変化)する。」

これだけ、思い出してください。

いくつか、動詞の活用の例を出してみます。

「読みます」…「よむ」「よまない」「よんだ」「よまなかった」
「泳ぎます」…「およぐ」「およがない」「およいだ」「およがなかった」
「食べます」…「たべる」「たべない」「たべた」「たべなかった」
「掃除します」…「そうじする」「そうじしない」「そうじした」「そうじしなかった」
「来ます」…「くる」「こない」「きた」「こなかった」

どうでしょうか? 簡単だと思われると思いますが、それはあなたが日本人だからです。
学習者にとって、これらの「活用」は本当に困難です。

「くる」「こない」「きた」「こなかった」⇒「なんじゃこりゃ??」って感じです。

趣味程度で勉強を始めた学習者は、この活用が入ってきた時点で「日本語の勉強をやめる」人もいるほどです。

以上の2つの理由により、学習者はまず、「丁寧体」を徹底的に練習します。

学習者の学習時間、テキストにもよりますが、平均で、約1か月~4か月、「丁寧体」だけを練習します。


「丁寧体」だけといっても、いろいろな文がありますよ。

・あの方は どなたですか。
・このパソコンは いくらですか。
・(わたしは)1週間に2回、アルバイトします。
・学校の近くに コンビニが ありますか。
・きのうは さむくなかったです。
・日本料理と ベトナム料理と どちらが 好きですか。
・日本料理の 中で 何が 一番 おいしいですか。

などなど…。書ききれません。(私は、上の文を英語で話せと言われても、無理です…。)

日本人が外国人に話しかけるとき、気遣って、子供に話すように「これ 飲む?」と言いますが、
学習者は、「これを 飲みますか。」と、言われるほうが、聞き取りやすいです。

もし、(初級の)日本語学習者と話す機会がございましたら、試してみてください!
(※中級者以上に使うと、「馬鹿にするな」と思われる恐れがあります…。笑笑)
まとめ

第1章「丁寧体」「普通形」について、まとめると下のようになります。

・日本語の文体は大きく分けて「丁寧体」と「普通体」に分かれる。
・日本国内の多くのテキストでは、「丁寧体」から先に勉強する。

長い文を読んでいただき、ありがとうございました。

この第1章のように、学校で習ったことを忘れてしまった方でも、ご理解いただける内容となっております。
ですが、最終章(第5章)まで読みすすめれば、専門的に教えることができるようになります!

「もう少し知りたい!」という方がいらっしゃれば、第2章を見ていただけると、うれしいです!

第2章【品詞と述語について】

 



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