日本語の教え方【日本語教師ではない方向け】【第2章 品詞と述語について】

「日本語教師ではないが、日本語を教えることになった!」
「日本語教師ではないが、日本語の教え方をちょっと知りたい!」

という方に、読んでいただきたく、この記事を書いています。

これはズバリ、私が、「日本語教師養成講座の初日に、こんな講義を受けたかった!」という内容です。
※ここでの話は、日本人が勉強する「学校文法」ではなく、「日本語を母語としない日本語学習者に教える日本語教育」です。

この記事では「日本語教師ではない方向け 第2弾」として、【品詞と述語】について書きます。

全体的な流れは、下の赤枠のようになっています。
【第1章】をご覧になっていない方は、ぜひ【第1章】から、お読みください!

第1章 「丁寧体と普通体」について
第2章 「品詞と述語」について
第3章 「補語」について
第4章 「活用」について
第5章 「普通体・普通形」について

第1弾では、「丁寧体と普通体」について、ご理解いただけたかと思います。

第2弾は「品詞と述語」です。前半に「品詞」、後半に「述語」について書きます。
「品詞」が理解できれば、「述語」は簡単に理解できます!

品詞

品詞とは、「名詞、動詞などの総称」のことです。

いきなりですが、学校文法の品詞を見てみましょう。

☆ 学校文法の品詞 10種
「名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・連体詞・接続師・感動詞・助動詞・助詞」

いきなり、テンション下がりますね…。

心配ございません。
日本語教育では、最低限、下の5つを理解すれば、教えられます!

「名詞・動詞・イ形容詞・ナ形容詞・助詞」

「なんかうっすら覚えているものが残った! イ形容詞とナ形容詞は、初耳だけど…。」

っていう感じでしょうか? あとで、ゆっくり説明します。

まずは、少しだけ「助詞」について、説明します。

うち 近く 味噌ラーメンの店 できた。私 味噌より 豚骨ほう 好きだ。
今日、妹 その店 行くようだ。「おいしい」言ったら、わたし 行こう 思う。

上の文の「」「」「」「」「」「より」などが「助詞」です。
簡単ですね!学校文法と同じです。

助詞は、日本語を教えるときの最重要項目の1つですが、ここでは、深く説明いたしません。
(※第3章で助詞の重要性について書きます。)

さて、この記事では、下の4つについて、重点的に説明します。

「名詞・動詞・イ形容詞・ナ形容詞」

◇ 名詞…学校文法と同じ  例:山 机 アメリカ 東京 山田さん 等
◇ 動詞…学校文法と同じ  例:飲む 開ける 来る する 等
◇ 学校教育の「形容詞」→日本語教育の「イ形容詞」  例:高い かわいい 忙しい 等
◇ 学校教育の「形容動詞」→日本語教育の「ナ形容詞」 例:親切 下手 クール 等

「名詞と動詞は、何となくわかるけど、形容詞・形容動詞ってどんなんだったっけ?」

『まあ、とりあえず、形容詞は「イ形容詞」、形容動詞は「ナ形容詞」って呼ぶんだな。』

とりあえず、こんな感じでOKです。

では、説明もなく、質問です。

下の言葉は「名詞」「動詞」「イ形容詞」「ナ形容詞」どれでしょうか?

① 食べる ② テーブル ③ 静か  ④ 寒い

「①は動詞、②は名詞。この2つは簡単!」⇐正解です。
「③と④は、なんとなく~、寒いがイ形容詞? じゃ、静かがナ形容詞?」⇐これまた、正解です!

では、簡単に「イ形容詞」と「ナ形容詞」について、説明します。

「イ形容詞」…下の例のように「 ~ 名詞 」になる形容詞です。

例:「寒い」…寒日 「高い」…高山 「いい」…い

「ナ形容詞」…下の例のように「 ~ 名詞 」になる形容詞です。

例:「静か」…静か町 「有名」…有名人 「クール」…クール

イ形容詞」と「ナ形容詞」覚えやすいですよね?
日本語学習者が覚えやすいように、専門家が、簡単な名前をつけてくれているのです!

ちなみに「名詞」は、「 名詞++名詞 」になります。
例:「テーブル」…「テーブル上」「わたし」…「わたしかばん」「お茶」…「お茶味」

では、軽く説明したところで、クイズです。気軽に挑戦してみてください。

下の単語、①~⑯の「品詞」は何でしょうか? 全問正解なら、かなり、センスありです!

① にぎやか ② 忙しい ③ 行く ④ リッチ ⑤ 暑かった ⑥ 来る ⑦ TOYOTA ⑧ 好き 
⑨ これ ⑩ 嫌い ⑪ よくない ⑫ 寝なかった ⑬ ほしい ⑭ 彼女 ⑮ 要らない ⑯ きれい

どうでしょう? 迷うものもありましたか?
さっそく、答え合わせです。

☆「名詞」は3つ。 ⑦ TOYOTA ⑨ これ ⑭ 彼女

【ちょこっと解説】
名詞には、「テーブル」などの「普通名詞」のほかに、以下のようなものもあります。

「固有名詞」…TOYOTA・ミラーさん・ジンバブエ 等
「指示代名詞」…これ・そこ・あちら・どれ・どこ 等
「人称代名詞」…彼女・彼・あなた・わたし 等

☆「動詞」は4つ。 ③ 行きます ⑥ 来る ⑫ 寝なかった ⑮ 要らない

動詞は、いろいろな形に変化しますが、「~ます」になるものは「動詞」です。
例:「来る」→「来ます」 「寝なかった」→「寝ます」 「要らない」→「要ります」。

☆「イ形容詞」も4つ。 ② 忙しい ⑤ 暑かった ⑪ よくない ⑬ ほしい

形容詞も変化しますが、名詞につなげると、「忙しい日」「暑い日」「いい人」「ほしいもの」となるので、
全部「イ形容詞」です。

⑪「い」は特別で、「い」「くない」「かった」「くなかった」と変化します。
⑬「ほしい」=「want」と考えて、「動詞」だと思った方は、いらっしゃいませんか?
  日本語では、「ほしい」は「イ形容詞」です。

☆「ナ形容詞」は5つ。 ① にぎやか ④ リッチ ⑧ 好き ⑩ 嫌い ⑯ きれい

これらを、名詞につなげると、「にぎやかなところ」「リッチな生活」「好きな食べ物」「嫌いな人」「きれいな部屋」全部「ナ形容詞」です。

⑧上の⑬と同様に「好き」=「like」だから「動詞」ではありません。
 日本語では「好き」は「ナ形容詞」です。
⑩「きらい」⑯「きれい」…どちらも「~い」で終わるので、「イ形容詞」だと、思ってしまいます
 が、これらは「ナ形容詞」です。

「④ リッチ」のような外来語は、ほとんど「ナ形容詞」です。
例:「ハンサムな人」「ゴージャスなドレス」「カジュアルな服」など。
私が思いつく外来語の「イ形容詞」は「エロい」ぐらいでしょうか・・・。
 

【ちょっと余談】
⑯「きれい」は「ナ形容詞」なので、下のように変化します。
「きれいだ」「きれいじゃない」「きれいだった」「きれいじゃなかった」

ですが、関西人に多く見られる言葉(私も関西人です)
「きれい」「きれくない」「きれかった」「きれくなかった」

これは「きれい」を「イ形容詞化」しています。
こういう言葉は、日本人同士で話すときには、いいのですが、日本人学習者に教える言葉としては、不適切です。(言葉は移り変わるものなので、これが正しくなるときが、来るのかもしれませんが…)

こういうことに気づき、注意して学習者と話せる人は、きっと日本語教師に向いています!

「品詞」の説明は以上です。では、次は「述語」です!

述語

日本語のカギは「述語」です! 「主語 目的語 述語」の「述語」です。

「述語」…主語について、その動作・作用・性質・状態などを叙述するもの。

ピンと来ないので、簡単に考えましょう。

日本語の文では、たいてい「文の最後にくる部分」です

具体的に言うと、下のA~Dの例文の下線部のところです。

A:中国語の 勉強は おもしろいです
B:中国語の 先生は とても 親切です
C:明日は 雨です
D:わたしは 中国語の 学校へ 行きません

「あ~、まあ、なんとなくわかる!」⇐それで十分です。

では、次のステップです。日本語教育では、下の4つの「述語文」を知る必要があります。

「名詞述語文」「動詞述語文」「イ形容詞述語文」「ナ形容詞述語文」

では、いきなり質問します。
下のA~Dの文はそれぞれ「名詞述語文」「動詞述語文」「イ形容詞述語文」「ナ形容詞述語文」
のどれでしょうか?

A:中国語の 勉強は おもしろいです
B:中国語の 先生は とても 親切です
C:明日は 雨です
D:わたしは 中国語の 学校へ 行きません

この記事の前半「品詞」を見てくださった方なら、簡単でしょうか?
早速、答えです。説明は省略します。

名詞述語文」…C:明日は 雨です
動詞述語文」…D:わたしは 中国語の 学校へ 行きません
イ形容詞述語文」…A:中国語の 勉強は おもしろいです
ナ形容詞述語文」…B:中国語の 先生は とても 親切です

日本語教育では、この4つの述語文を、きっちりと分けて、指導することが重要です。

第1章の内容ですが、ちょっと復習します。
「名詞述語文」「動詞述語文」「イ形容詞述語文」「ナ形容詞述語文」は以下のように変化します。

☆ 丁寧体
◇ 名詞述語文
 「雨です」「雨じゃありません」「雨でした」「雨じゃありませんでした
◇ 動詞述語文
 「買います」「買いません」「買いました」「買いませんでした
◇ イ形容詞述語文 ※学校文法の「形容詞」
 「寒いです」「寒くないです」「寒かったです」「寒くなかったです
◇ ナ形容詞述語文 ※学校文法の「形容動詞」
 「静かです」「静かじゃありません」「静かでした」「静かじゃありませんでした

☆ 普通体

◇ 名詞述語文
 「雨(だ)」「雨じゃない」「雨だった」「雨じゃなかった
◇ 動詞述語文
 「買」「買わない」「買った」「買わなかった
◇ イ形容詞述語文
 「寒」「寒くない」「寒かった」「寒くなかった」
◇ ナ形容詞述語文
 「静か(だ)」「静かじゃない」「静かだった」「静かじゃなかった

『あれっ?「名詞述語文」と「ナ形容詞述語文」は同じ?』と思った方は、すごいです!

⇒はい、「述語」で使うときは、同じでオッケーです。
ここまで、頭の整理ができているでしょうか?

下の文のように、文が多少複雑になっても、結局は同じです。
(※但し、これらは初級の中盤ぐらいで勉強する文です。)

① 第2のふるさとは、7年住んでいた上海です。⇒名詞述語文
② この1週間、きれいな景色を見る機会が多かった。⇒イ形容詞述語文
③ 彼は今朝、私が働いているところに来た。⇒動詞述語文
④ 母が作ったカレーが一番好きです。⇒ナ形容詞述語文

これらの4つの「述語文」を、きっちり区分できるようになれば、次は、学習者にきっちりと区分して、指導します。


学習者が、この4つを、はっきり区分できていない場合、以下の例のような誤用が、頻発します。
(嘘のような本当の話です)

教師Tと学習者Sの会話
例1 T:「納豆は おいしいでしょう?」  S:「いいえ、おいしいじゃない。」
例2 T:「パーティーは どうでしたか。」 S:「楽しいでした。」
例3 T:「昼ご飯を 食べましたか。」   S:「たべましたです。」

例3のSなんて、タラちゃんだけが許される文です。

ちなみに、正しい文は、
「いいえ、おいしくないです。」「楽しかったです。」「はい、食べました。」

何度も言いますが、「述語」は日本語のカギです。
「述語」は、どんどん広がりを見せ、初級のうちに、下のような文を勉強します。
(個人差もあり、はっきりとは言えませんが、初級終了の目安は6か月~9か月ぐらいです。)

・消しゴムを 貸してください。
・日本人の先生に 日本語を 教えてもらいました。
・お金が あったら、海外旅行に 行きたいです。
・あの店は、安いし、おいしいし、それに、サービスがいいです。
・電車の中で だれかに 財布を 盗まれました。
・子供ができたら、どんな習い事を させますか。
・社長、今晩 何を 召し上がりますか。
・社長がくださった資料を 拝見いたしました。

などなど…。無数にあって、書ききれません。

「初級」といっても、ナメてはいけません。けっこういろいろなことが話せると思いませんか?

(話せるようになるかは、教師と学習者の努力によりますが…)

私の感覚ですが、「初級」をきっちりマスターした学習者は、「話したいことの80%以上話せる」と思っています。

「述語」をきっちり練習して、学習者が「初級」をきっちりマスターすれば、教師の仕事は、80%終わったといっても、過言ではありません。
逆に言うと、初級の基礎がない学生に、何を教えても無駄です…。

最後に、もう1度、言います。日本語は「述語」が命

述語を征するものが、日本語を征する。

学習者に指導するときは、述語まで(文を最後まで)きっちり言わせることを、意識してください。
下のような会話の練習をしていても、学習者の日本語は絶対に上達しません!

【T:教師 S:学習者】
T:「今日、なんで 学校へ 来ましたか。」 S:「じてんしゃ~。」
T:「今朝、何時に 起きましたか。」    S:「7じ~。」

S:「自転車で 来ました。」 S:「7時に 起きました。」
と、「述語」まで、きっちり言わせるようにしてください。

そうすれば、学習者の日本語は、きっと上達するはずです!

まとめ

最後のほうは、私の感情を入れ込みましたが、ご理解いただけたでしょうか?
まとめると、言いたいのは、下の2点だけです!

・日本語の品詞はいろいろあるが、日本語教育では、下の5つが分かれば、教えられる。
 「名詞・動詞・イ形容詞・ナ形容詞・助詞」
・日本語は述語が命。学習者には、述語まで(文の最後)まで言わせる練習が必要。
 「名詞述語文・動詞述語文・イ形容詞述語文・ナ形容詞述語文」

長い文を、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

続く第3章【補語について】も、理解しやすい内容となっておりますので、ご覧いただけると、うれしいです!

第3章【補語について】

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