国際音声記号(IPA)【第1章 母音(ア行)子音(カ・ガ行)ガ行鼻濁音について】

国際音声記号(IPA)について、日本語教育能力試験の合格という観点からまとめてみました。
「音声記号…。嫌だ~。ややこしいから、後回し!」と思っている方、参考にしてみてください。


国際音声記号(IPA)についての、全体的な流れは以下のようになります。

だいたいのことがわかっている方は、各章の最後の「まとめ」だけ、見ていただいてもいいと思います!

この記事は【第1章 母音(ア行)子音(カ・ガ行)ガ行鼻濁音について】です。

最後まで読んでいただいたら、以下のことがご理解いただけます。

国際音声記号(IPA)  ☆☆☆☆☆

国際音声記号(IPA)とは、あらゆる言語の音声を文字で表記した記号のことです。
IPAは「International Phonetic Alphabet」の略です。[ ]で示します。

一般的に「音声記号」と言えば「国際音声記号(IPA)」のことです。以下は「音声記号」と書きます。

音声記号は、試験Ⅱだけでなく、試験Ⅰや試験Ⅲにも出題されますので、検定試験に合格する上で最重要項目の1つと言えるでしょう。
音声記号は極めようと思うと困難ですが、検定試験合格に必要な知識と考えると、さほど難しくないです。

まず、「音声記号」を勉強する上での「コツ」を書きます。

◇ まず、日本語で使用する音声だけを勉強する。
◇ 日本語で使用する音を「ア行」→「カ行」→「サ行」の順に整理していく。
◇ 例えば「カ行」を勉強するときに「ガ行」「キャ行」「ギャ行」を一緒に理解する。
◇ 各行で出題されやすい周辺知識を知る。
◇ 余裕があれば、日本語にない音声の音声記号も少し覚える。[f][v][l][r]など。

この流れで「ア行」→「カ行」→「サ行」と、1つ1つ潰していけば、ゴールが見えてきます!

検定試験に出題される問題は、日本語で使用する音声だけの知識でほとんど解けます。
日本語で使用しない音声記号が出てきても、日本語で使用する音声記号の知識があれば解けるように、うまいこと作ってくれています。
そして、余裕があれば、[f][v][l][r]などの日本語にない音声の音声記号も、少し覚えておくといいでしょう!

この第1章では主に、「母音と子音の違い」「母音の分類方法(ア行)」「子音の分類方法(カ行)」について、書きます。

先に結論を書きます。(今、わからなくても、大丈夫です!読み進めていってください。)

母音と子音の違い…肺から出る呼気を妨げるか妨げないか。(息を妨げるかどうか)
母音…呼気を妨げずに発する音  子音…呼気を妨げて発する音。
母音は「唇の丸めの有無(円唇性)」「舌の前後位置」「舌の高さ(または開口度)」の3つで、分類される。
子音は「声帯振動の有無」「調音点」「調音法」の3つで分類される。

では、「母音」からいきましょう!

母音  ☆☆☆☆☆

母音とは、肺から出る呼気を妨げずに発する音声のことです。 簡単に「呼気=息」と考えていいです。

まず、「母音」と「子音」の違いについて、書きます。
(基本的なことですが、ときどき検定試験に出題されます。)

母音と子音の違い…肺から出る呼気を妨げるか妨げないか。(息を妨げるかどうか)
母音…呼気を妨げずに発する音。日本語の母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つだけ。
子音…呼気を妨げて発する音。日本語では「子音+母音」1つの音となる。
   例:子音 [b] + 母音 [a] →「バ」[ba]

例えば、「バ」[ba]という時は、上唇と下唇をつけますね。
「バ」[ba]の子音[b]は、両唇(上唇と下唇)で呼気を妨げて、発声します。

ですが、母音「ア」[a]は、呼気をどこでも妨げずに、そのまま発声します。

日本語の母音は /ア・イ・ウ・エ・オ/ の5つだけです。
音声記号は、[a][i][ɯ][e][o]です。ウ[ɯ]だけ、注意してください。

下の母音図を見てください。

図1は国際音声記号表の母音図です。母音図に日本語の㋐~㋔を入れ込みました。

「なんか、は[ɯ]からたいぶ遠いところにあるんですけど~」

⇒ 私もそう思います。考えないようにしましょう!

この図1は、図2をもとに作られました。この図2を提唱したのは、ダニエル・ジョーンズです。
音声記号では、人名はほとんど出てきませんので、この人1人だけ覚えておいてもいいですね。
(※国際音声記号全体を作った人ではありません。)

そして、日本語の母音を簡単に書いたのが図3です。

母音はいっぱいありますが、「こんなものもあるんだ~。」という感じでいいでしょう。
興味がある方は、舌を動かして、世界の言語の母音を試してみてください!

図1を見ると、英語の「apple」の[æ]などもありますね。「アとエの間」とか習ったあれです!

図を見ると…? ア[a]とエ[e]の間ですかね~??


では、母音について、説明していきます。

母音は「唇の丸めの有無(円唇性)」「舌の前後位置」「舌の高さ(または開口度)」の3つで分類されます。

「唇の丸めの有無(円唇性)」…唇を丸めるかどうか。【円唇(えんしん)母音/非円唇(ひえんしん)母音】
「舌の前後位置」…舌が前寄りか後寄りか。【前舌(まえじた)母音/中舌(なかじた)母音/後舌あとじた母音】
「舌の高さ」…舌が高いか低いか。【(たか)母音/(なか)母音/(ひく)母音】

※ ③は「舌の高さ」ではなく、「開口度」で表されることもあります。
 「開口度」…口をどのぐらい開くか。【(せま)母音/半狭(はんせま)母音/半広(はんひろ)母音/(ひろ)母音】

日本語の母音は下のように分類されます。

/ア/[a]   非円唇 ※1 低母音(広母音)
/イ/[i]    非円唇 前舌 高母音(狭母音)
/ウ/[ɯ]  ※2非円唇 後舌 高母音(狭母音)
/エ/[e]   非円唇 前舌 中母音(※3 半狭母音)
/オ/[o]   円唇  前舌 中母音(※3 半狭母音) ※円唇は[o]だけ

※1 日本語の /ア/ は舌の前後位置はどこで発音してもいいので、書かないことが多い。
※2 /ウ/は円唇っぽいが、共通語の/ウ/は唇の丸めが弱いため、「非円唇」の[ɯ]。
※3 半狭と半広の間だが、簡単に半狭母音と表すことが多い。

確認してみましょう。/イ/と言ってみてください。

① 唇を丸めないので、「非円唇」
② 舌先を前に出すので「前舌」
③ 舌先が高い位置に来るので「高母音」。または、口をあまり開かないので「狭母音」

よって、/イ/[i]は「非円唇 前舌 高母音(狭母音)」となります。

他の母音[a][ɯ][e][o]も、上の枠内を見て、※に注意しながら、試してみてください!
(すみません、1つ1つの説明は省きます。)

「イ→エ→ア→オ→ウ」の順に言って、覚える方法があるようです。
私は「イ→ウ→エ→オ→ア」ですが…。覚えやすいほう、どちらでも構いません。

というか、私は、使われる言葉(円唇や高母音など)を、ある程度覚えているだけで、1つ1つは覚えていません。下の図を書いたら、すぐに思い出せます。

特に、試験Ⅱの問題3の(4)~(8)で、これが役に立ちます。
私は、試験の空いている時間に、ホームぺーズ型の上の図を書きます。

例えば、試験Ⅱの問題3の(4)~(8)の問題で「うんめい」を「おんめい」または「むかし」を「もかし」と言ったとしたら、上の図の「ウ」と「オ」を線で結ぶと、「舌の高さ」が違うことがわかります。
一度、過去問をやるときに、試してみてください!

では、母音について、まとめます。

◇ 母音は、肺から出る呼気を妨げずに出す音声。
◇ 母音は「唇の丸めの有無(円唇性)」「舌の前後位置」「舌の高さ(または開口度)」の3つで
  分類される。
◇ 日本語の母音は/アイウエオ/[a][i][ɯ][e][o]の5つだけ。円唇は/オ/[o]だけ。

日本語の共通語の/ウ/は唇の丸めが弱いので、非円唇です。
[ɯ]…非円唇 後舌 高母音(狭母音)

音声記号[u]もあります。[u]は[ɯ]に似た音声ですが、円唇です。
[u]…円唇 後舌 高母音(狭母音)

関西人の中には /ウ/ を口を丸めて、[u]と調音する人がいるようです!(私もかなあ…)

次は、「子音」の前に、少しだけ「調音」について、書きます。

調音  ☆☆★★★

子音の分類にある「調音点」や「調音法」に「調音」という言葉が出てきています。
「発音」に近い言葉ですが、「発音」は一般的に「調音」に「アクセント」や「イントネーション」等も含めたもののことを言います。

「だれの?」という言葉にはこんな発音の要素が含まれます。(※発音の要素は他にもあります。)

調音…「だ」「れ」「の」という音がちゃんと出ているか。
アクセント…「だれの」が「高低低」という高低アクセントで発されているか。
イントネーション…「だれの⤴」という上昇調で話されているか。

つまり、「調音」というのは、「だ」なら「だ」、「の」なら「の」という音が出るかどうかということです。

「先生(高低低低)も行くんですか⤵」と言った学習者に対して、調音やアクセントやイントネーションをひっくるめて「発音が悪い!」と言いますが、これはアクセントとイントネーションに問題があるのであって、「センセイモイクンデスカ」と聞こえれば、「調音」には問題がないと言えます。

逆に、「ラーメン」が「ナーメン」に聞こえるのは「調音」に問題があるということになります。

子音  ☆☆☆☆☆

子音とは、肺から出る呼気を妨げて発する音声のことです。 簡単に「呼気=息」と考えてもいいです。
例を挙げると、/カ/[ka]の子音は[k]、/サ/[sa]の子音は[s]です。

わかりやすく /バ/ で説明すると、/バ/[ba]を調音する時は、上唇と下唇をつけますね。
これは、両唇(上唇と下唇)で呼気を妨げています。この[b]が子音です。
他の子音も、呼気を口の中のどこかで呼気を妨げます。

日本語は基本的に「子音+母音」で1つの音となります。(特殊音を除く)

例:子音 [b] +母音 [a] → /バ/ [ba]   子音 [k] +母音 [o] → /コ/ [ko] 

子音は「声帯振動の有無」「調音点」「調音法」の3つで分類されます。
先にまとめると、下のようになります。

① 「声帯振動の有無」…声帯が振動するかしないか。【有声音・無声音】
② 「調音点」…どこで呼気を妨げているか。妨げる場所。
③ 「調音法」…呼気を妨げる方法。どのように妨げるか。

① 声帯振動の有無 【有声音・無声音】
「声帯が振動するかしないか」です。

指をのどぼとけの一番出ているところのちょっと上に当てて、/カ/と/ガ/を言ってみてください。
/カ/[ka]はあまり振動せず、/ガ/[ɡa]は振動したのではないでしょうか?

この[k]のような振動しないものを「無声音」、[ɡ]のような振動するものを「有声音」と言います。
(※母音も有声音です。)

日本語はほとんどの音が母音で終わるので、日本人のほとんどは、子音だけを発音することはできません。
みなさんは子音[k]だけを発音できますか?

できる方は、やってみてください!子音[k]だけなら、声帯はほぼ振動しません。
いつできるようになったのですか??英語を勉強するとできるようになりますか??

できなくても、全然問題ありません! 私もできません…。

上で[ka]は「あまり振動しない」と書きましたが、正確に言うと、子音[k]では振動せず、母音[a]で振動しています。それに対して[ɡa]は、子音[ɡ]の部分から振動しています。

声帯振動を確認する方法は、上の方法を含めて、下の2つぐらいでしょう。

・指をのどぼとけに当てる。
・手で耳を塞いで調音してみる。→有声音[ɡ]のほうが響く感じがします。

ですが、私はこれらの方法は使わずに、下のように覚えています。
(子音だけで調音できないし…。区別に時間がかかるので…。)

カサタパハ行の子音は無声。(キャ行やシャ行なども)
それ以外は全部有声。(※母音も有声)

無声子音は「カサタパハ行(キャ行やシャ行なども)の子音」と覚えています。
濁点「゛」がつけられるものと考えれば簡単です。
ちょっと苦しいですが、パ行も「゜」を取れば付けられます。

この無声子音は、先にささっと覚えることをお勧めします。

(「母音の無声化」等、いろいろなところでこの言葉が出てきます。)

② 調音点

調音する際に、どこで呼気を妨げているか。妨げる場所のことです。

日本語を調音する際の「調音点」は、主に下の7つです。全部「音」を省きます。例:両唇


両唇りょうしん」「歯茎しけい」「歯茎硬口蓋しけいこうこうがい

硬口蓋こうこうがい」「軟口蓋なんこうがい」「声門せいもん」「口蓋垂こうがいすい

※左図のような縦で切り、口の中を横から見た図を
 口腔こうこう断面図」と言います。

これについては、今は「このぐらい覚えたらいいんだ」という感じで、見るだけで結構です。
「カ行」「サ行」等で、1つ1つ説明します。
見慣れないものばかりで難しく感じますが、全然難しくないです!

③ 調音法

呼気をどのように妨げるか。呼気を妨げる方法のことです。

日本語を調音する際の「調音法」は、主に下の6つです。

破裂音はれつおん閉鎖音へいさおんともいう)」「摩擦音まさつおん」「破擦音はさつおん」「鼻音びおん」「接近音せっきんおん」「はじおん

これについても、今は「このぐらい覚えたらいいんだ」という感じで、見るだけで結構です。
「カ行」「サ行」等で、1つ1つ説明します。

では、子音について、まとめます。

子音…肺から出る呼気を妨げて出す音声
「声帯振動の有無」「調音点」「調音法」の3つで分類される。
「声帯振動の有無」…カサタパハ行の子音→無声音 それ以外の子音→有声音(母音も有声)
「調音点」…主に「両唇」「歯茎」「歯茎硬口蓋」「硬口蓋」「軟口蓋」「声門」「口蓋垂」
「調音法」…主に「破裂音(閉鎖音ともいう)」「摩擦音」「破擦音」「鼻音」「接近音」「弾き音」

とりあえず、今はこれでオッケーです!読み進めれば、ご理解いただけます。

では、「カ行」に進みましょう!

カ行

カ行 /カキクケコ/ の子音は[k]です。
音声記号は、カ[ka]キ[kʲi]ク[kɯ]ケ[ke]コ[ko]となります。

/キ/[kʲi]だけ、こんなん→[ʲ]入ってるんですけど~。」

⇒そうです。「イ段は特別」です。後で説明します。

では、/キ/[kʲi]はおいといて、
まず、/カ クケコ/[ka]   [kɯ][ke][ko]について、説明します。

子音は「①声帯振動の有無 ②調音点 ③調音法」の3つで分類されます。

[k]…「無声 軟口蓋 破裂音(または閉鎖音)」



① 声帯振動の有無
カサタパハ行(キャ行やシャ行なども)の子音は、無声音(声帯振動なし)です。
よって、カ行の子音[k]は「無声音」です。

② 調音点

両唇りょうしん」「歯茎しけい」「歯茎硬口蓋しけいこうこうがい」「硬口蓋こうこうがい」「軟口蓋なんこうがい」「声門せいもん」「口蓋垂こうがいすい」のうちの軟口蓋なんこうがいです。

舌先を上の前歯の裏につけてください。そして、舌を上につけたまま、のどちんこのほうまで動かしてください。今、舌でなぞった口腔と鼻腔を分離しているところを「口蓋」と言います。
奥の方で急に軟らかくなるところがありませんか? そこが「軟口蓋」です。

子音[k]は、舌の奥を「軟口蓋」のほうに盛り上げ、呼気を妨げます。

一度、これで /カ クケコ/ と言ってみると、なんとなくつかめると思います!

③ 調音法

破裂音はれつおん閉鎖音へいさおんともいう)」「摩擦音まさつおん」「破擦音はさつおん」「鼻音びおん」「接近音せっきんおん」「はじおん」のうちの破裂音はれつおん閉鎖音へいさおん)」です。

破裂音とは、呼気の通り道を一時的に塞いで(閉鎖して)、破裂させて出す音のことです。
破裂させる直前で、通り道を塞ぐので、「閉鎖音」とも呼ばれます。
/タ・テ・ト/の子音[t]や、パ行の子音[p]なども「破裂音」なので、/カ//タ//パ/などと言ってみて、感覚をつかんでください!

/カ/[ka]の場合なら、調音点「軟口蓋」で一時的に閉鎖を作り、それを破裂させて調音します。
※ 破裂音のように、一時的に呼気の通り道を閉鎖するものの口腔断面図は、舌を口腔の上にくっつけて書かれます。(他に破擦音と鼻音もくっつきます。)

もう1度書きます。子音[k]は下のようになります。上の①②③を続けて言います。

[k]…「無声 軟口蓋 破裂音(または閉鎖音)」

では、/キ/[kʲi]について、説明します。

日本語の「イ段(キ・シ・チ…)」は特別で、「硬口蓋化」します。
「硬口蓋化」とは、「調音点が硬口蓋のほうに寄る」ということです。





上の右の図が[kʲ]の口腔断面図です。
カ行の子音[k]の調音点は「軟口蓋」ですが、/キ/[kʲi]は、調音点が少しだけ、硬口蓋に寄ります。
硬口蓋の位置を上の左の口腔断面図で確認してください。

「カキクケコ」と言ってみてください。「キ」だけ、舌の奥の盛り上がりの範囲が広くなり、少しだけ硬口蓋に寄るのが感じ取れるでしょうか?感じ取れない方はそういうものだと思ってください!笑笑

この[ʲ]は、「硬口蓋化」を表します。
[ʲ]が入ると、調音点を「硬口蓋~軟口蓋」と示すこともありますが、いろいろややこしくなるので、ここはシンプルに「少し寄るだけなので、調音点は変わらず軟口蓋」という理解でいいと思います。

私はこの[ʲ]を「ちょこっと硬口蓋化」と名付けています。
「ちょこっと硬口蓋に寄るだけで調音点はかわらない」という意味です。

※「硬口蓋化」は「口蓋化」とも言われます。「口蓋化」のほうがよく使われます。

/キ/[kʲi]…「無声 軟口蓋 破裂音」 ※[ʲ]が入っても調音点は変わらない

これで、カ行はオッケーです!


ですが、ここで終わったらもったいないです。キャ行も一緒に覚えましょう!

/キ/[kʲi]は音声記号では「キャ行」のグループに入ります。
/キ/ だけで覚えず、/キャ キ キュ  キョ/で覚えましょう!

キャ[kʲa]キ[kʲi]キュ[kʲɯ]   キョ[kʲo] ※エ段は無視

カ行をまとめると、下のようになります。

カ行 「無声 軟口蓋 破裂音」 /カ    ク  ケ コ / [ka]     [kɯ] [ke] [ko]
キャ行「無声 軟口蓋 破裂音」 /キャ キ キュ   キョ/ [kʲa] [kʲi] [kʲɯ]   [kʲo]
※[ʲ]ちょこっと硬口蓋化するだけで「調音点」は変わらない

ガ行

ガ行 /ガ ギ グ ゲ ゴ/ の子音は[ɡ]です。
音声記号は、ガ[ɡa]ギ[ɡʲa] グ[ɡɯ]ゲ[ɡe]ゴ[ɡo]です。

[ɡ]は簡単です。[k]が有声音(声道振動あり)になるだけです。
有声音になるだけで調音点と調音法は変わらないため、口腔断面図はカ行の[k]と同じです。

[ɡ]…「有声 軟口蓋 破裂音(または閉鎖音)」

/ギ/[ɡʲi]は、/キ/[kʲi]と同様に、[ʲ]「硬口蓋化」します。(※イ段は硬口蓋化する。)

これも、/ギ/[ɡʲi]だけで覚えたらもったないです。 /ギ/ [ɡʲi]はギャ行のグループに含まれます。

ギャ[ɡʲa]ギ[ɡʲi]ギュ[ɡʲɯ]   ギョ[ɡʲo] ※エ段は無視

では、ガ行のポイント「ガ行鼻濁音」について書きます。

ガ行鼻濁音  ☆☆☆☆★

ガ行(ギャ行)には、調音法「鼻音」で発する「鼻濁音」という音声があります。








鼻濁音とは、ガ行(ギャ行)を調音するときに、鼻から息を抜く音のことです。
上の口腔断面図の を見ると、鼻腔への通り道が開いていることがわかります。
鼻から抜くので、調音法が「鼻音」になります。音声記号は [ŋ] です。

[ŋ]…「有声 軟口蓋 鼻音

/ガ    グ  ゲ ゴ /…[ŋa]      [ŋɯ]  [ŋe ]   [ŋo]
/ギャ ギ ギュ   ギョ/…[ŋʲa][ŋʲi][ŋʲɯ]    [ŋʲo]


この音は、一般的に「ガ行鼻濁音」と言われます。

「わたしが~」というときの「が」を鼻から抜いて言ってみると、つかみやすいです。
以前は、美しい発音とされ、アナウンサー等が積極的に使用していましたが、最近は特にそんな傾向は、見られなくなりました。

「鼻濁音」が現れるのは「和語の語頭以外と助詞」です。

もう1つ、検定試験でよく出題されることを書いておきます。

ガ行の[ɡ]とガ行鼻濁音[ŋ]は「自由異音」です。
ここでは、短い説明にします。詳しくは ☞ 異音(自由異音と条件異音)をご覧ください。

異音…1つの音素が異なる音声として現れるときの音のこと。
⇒ /ガ/ は1つの音素だが、音声記号では[ɡ][ŋ]に分かれる。
⇒[ɡ]と[ŋ]は  /ガ/  の異音と言える。

異音は「自由異音」と「条件異音」に分かれる。

自由異音…規則性がなく、ランダムに使われる異音。
       強引に言うと、言っても、言わなくてもどっちでもいい異音のこと。
条件異音…前後に接続する音によって、規則的に現れる異音。
       例:撥音/ン/の異音[m][n]等

[ɡ][ŋ]は、使うかどうかは、個人の自由で、言っても言わなくてもどちらでもいいので、
「自由異音」です。

ガ行をまとめると、下のようになります。

ガ行  「有声 軟口蓋 破裂音」 /ガ    グ ゲ ゴ /[ɡa]   [ɡɯ][ɡe][ɡo]
ギャ行 「[ʲ]が入るだけ」   /ギャ ギ ギュ   ギョ/[ɡʲa][ɡʲi][ɡʲɯ]    [ɡʲo]

※ガ行鼻濁音  「有声 軟口蓋 鼻音」/ガ    グ  ゲ ゴ /[ŋa]    [ŋɯ]  [ŋe ]  [ŋo]
※(ギャ行)鼻濁音「[ʲ]が入るだけ」 /ギャ ギ ギュ   ギョ/[ŋʲa][ŋʲi][ŋʲɯ]   [ŋʲo]

※「和語の語頭以外と助詞」 ※[ɡ][ŋ]は「自由異音」

ガ行の問題が出たら、まず「ガ行鼻濁音」を思い浮かべてください!

まとめ

この第1章では、「母音と子音・ア行とカ行」について、書きました。
この記事の内容をまとまめると、下のようになります。

覚えることが多く見えますが、上に書いたホームベース型の母音図と、子音[k]「無声 軟口蓋 破裂音」だけしっかり覚えて、あとは「有声になるだけ」とか「「ʲ」がつくだけ」というふうポイントをおさえれば、全部覚える必要はありません!

母音…呼気を妨げずに出す音声。「唇の丸めの有無(円唇性)」「舌の前後位置」「舌の高さ(または開口度)」の3つで分類される。

/ア/[a]   非円唇 ※1 低母音(広母音)
/イ/[i]    非円唇 前舌 高母音(狭母音)
/ウ/[ɯ]  ※2非円唇 後舌 高母音(狭母音)
/エ/[e]   非円唇 前舌 中母音(※3 半狭母音)
/オ/[o]   円唇  前舌 中母音(※3 半狭母音) ※円唇は[o]だけ

※1 日本語の /ア/ は舌の前後位置はどこで発音してもいいので、書かないことが多い。
※2 /ウ/は円唇っぽいが、共通語の/ウ/は唇の丸めが弱いため、「非円唇」の[ɯ]。
※3 半狭と半広の間だが、簡単に半狭母音と表すことが多い。

子音…肺から出る呼気を妨げて出す音声。
  「声帯振動の有無」「調音点」「調音法」の3つで分類される。

カ行 「無声 軟口蓋 破裂音」 /カ    ク  ケ コ / [ka]     [kɯ] [ke] [ko]
キャ行「[ʲ]が入るだけ」     /キャ キ キュ   キョ/ [kʲa] [kʲi] [kʲɯ]   [kʲo]

ガ行  「有声 軟口蓋 破裂音」 /ガ    グ ゲ ゴ /[ɡa]   [ɡɯ][ɡe][ɡo]
ギャ行 「[ʲ]が入るだけ」   /ギャ ギ ギュ   ギョ/[ɡʲa][ɡʲi][ɡʲɯ]    [ɡʲo]

※ガ行鼻濁音  「有声 軟口蓋 鼻音」/ガ    グ  ゲ ゴ /[ŋa]    [ŋɯ]  [ŋe ]  [ŋo]
※(ギャ行)鼻濁音「[ʲ]が入るだけ」 /ギャ ギ ギュ   ギョ/[ŋʲa][ŋʲi][ŋʲɯ]   [ŋʲo]
※「和語の語頭以外と助詞」 ※[ɡ][ŋ]は「自由異音」

※[ʲ]は「硬口蓋化」を表すが、調音点は変わらない。よく「口蓋化」と言われる。

この第1章は、母音と子音の内容が盛り込んだので、ちょっと複雑になりましたが、
この章が理解できれば、音声記号を学ぶ上での基礎ができたと言えます。

あとは、「サ行・タ行…」と1行ずつ潰していくだけです!
それぞれの行で、検定試験で必要な知識も書いていますので、よかったら続けてお読みください!


☞ 国際音声記号(IPA)について【第2章 サ行・タ行・ナ行・ハ行】





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