(11)【 述語が表す出来事と二格の関係 】 難易度 ☆☆☆★★
まず、「ニ格」「ガ格」「ヲ格」などと書いてあったら、助詞を思い浮かべてください。
助詞「に」の用法は、いっぱいありますが、この問題の「に」は、「動作を行う時」を表す「に」です。
1 週末に行った 週末にその行為をした
2 週末にドライブをした 週末にその行為をした
3 週末に残業した 週末にその行為をした
4 週末に買ってきた 週末にその行為をした
5 週末に予約した レストランに行く日が週末。(予約した日は、週末とは限らない。)
5だけ、「週末に行為をした」ではありません。
よって、答えは5です。
私は、5も「週末にその行為をした」というふうに読んだので、最初、わかりませんでした・・・。
この問題とは、あまり関係ありませんが、助詞「に」の用法をまとめておきます。
「に」の用法は、本当にいっぱいあります。覚える必要はありません。
「こんなものがあるんだ~」という感じで、見ていただければと思います!
存在の場所 | 机の上に本がある 先生は教室にいる 栃木県に住んでいる ホテルに泊まる ※「ある・いる」の他に「住む・泊まる」等の動作性の低い動詞は「に」を使う。 動作性が高い動詞は、動作の場所「で」を使う。例:食堂で食べる 体育館で踊る |
時を表す | 4月1日に来た 夏休みに国へ帰る 食べる前に歯を磨く 帰りにコンビニに寄る |
目的・用途 | 手紙を出しに行く ケータイを取りに帰る コンパスは円を描くのに使う |
到達点・帰着点 | 学校に行く いすに座る 大学に入る 紙に名前を書く 会議に参加する |
変化 | 教師になる 20歳になる 5時になる 中国語に翻訳する 静かになる |
相手 | 相手 彼に会う 先生に聞く 母に電話をかける 友達に写真を見せる 受け手 弟に腕時計をあげる 友達にお金を貸す ポンさんに日本語を教える 与え手 兄に腕時計をもらう 友達にお金を借りる ポンさんにタイ語を習う ※ 与え手の使い方は「~から」と言うこともできる |
受身文・使役文 の動作主 | 受身 父に叱られる 部長に仕事を頼まれる 誰かに財布を盗まれる 使役 学習者に漢字を書かせる 子供に野菜を食べさせる |
原因・理由 ~ために | お金に困る 人の多さにびっくりする |
比較の基準 適用の範囲 | 父に似ている この服はあなたにびったりだ 体にいい 目に悪い 文法に弱い |
追け加え | 朝食はいつも食パンにコーヒーだ 定食にスープもついてくる |
強調 (同じ動詞を反復) | 昨日は飲みに飲んだ 台風で海は荒れに荒れた |
その他 (分類しにくいもの) | (対象とも考えられる)日本の生活に慣れた 会議に遅れる 授業に間に合った (出所とも考えられる)駅前にスーパーができた 山田さんに女の子が生まれたそうだ (存在の場所とも考えられる)会社に勤めている 家に財布を忘れた (比較の基準・適応の範囲とも考えられる)1日に3回薬を飲む |
(12)【「の」の用法 】 難易度 ☆☆☆★★
「の」の用法で一番よく使われるのは、「名詞+の+名詞」で、後ろの名詞を修飾する形です。
例:ミラーさんの本 昨日のニュース ベトナムの雑貨 日本語教師の鈴木です 等
上の文も細かく言うと、分かれるのですが、後ろの名詞を修飾するということで、全部同じと考えましょう。
他の用法に、連体修飾部(名詞を修飾している部分)の助詞「が」は「の」と言い換えることができるという用法があります。この用法は検定試験でよく出題されます!
例:母が作ったカレー⇒ 〇 母の作ったカレー グエンさんが着ている服⇒ 〇 グエンさんの着ている服
逆に言うと、「の」を「が」に言い換えることができます。
1 「名詞+の+名詞」後ろの名詞を修飾する用法
2 連体修飾部の「が」が「の」になったもの。逆に言うと「の」を「が」に言い換えられる。
〇 本が好きな子供 = 〇 本の好きな子供
3 「名詞+の+名詞」後ろの名詞を修飾する用法
4 「名詞+の+名詞」後ろの名詞を修飾する用法
5 「名詞+の+名詞」後ろの名詞を修飾する用法
2以外の選択肢は、「の」を「が」に言い換えると変な文になります。
よって、答えは2です。
助詞「の」をまとめると、下のようになります。
「名詞+名詞」で 後ろの名詞を修飾 | 時 日曜日の昼 5月の終わり 今朝の新聞 場所 棚の上 駅の向こう 日本の観光地 所有 私のかばん 山田さんの家 このペンは彼のです。 種類・性質 英語の本 体育の教師 もみの木 状態 生の肉 風邪のとき 学生の頃 |
連体修飾部の「が」 に相当する働き | 母が作ったカレー ⇆ 母の作ったカレー あなたの好きなもの 胴の長い人 ヘレンさんの着ている服がほしい わたしの言うとおりに、言ってください。 |
動詞を名詞化する | ナットさんは走るのが速いです。 ヘンリーさんは絵を描くのが上手です。 |
人・物などの名詞の 代わりに使う | 英語が話せるのは、李さんだけだ。 もう少し大きいのは、ありますか。 私がすきなのは「進撃の巨人」です。 一番安いのは、スーパー玉出です。 ※名詞化とも考えられる |
「~の~の」で 例を示す | かばんの中に、爪切りだの、オロナインだの、いろいろな物が入っている。 彼女は、年収が低いだの、趣味が合わないだのと言って、なかなか結婚しない。 |
(13)【 のだ(んだ)の用法 】 難易度 ☆☆★★★
普通形…「のだ(んだ)」
丁寧形…「のです(んです)」
話すときは「んだ」「んです」をよく使います。文型辞典には「のだ」で載っています。
「のだ(んだ)」の用法もいっぱいあるので、選択肢を見ながら考えるしかありませんね。
1 発見 「あれ、~」
2 発見 「なんだ、~」
3 決意 「よし、~」
4 発見 「へえ、~」
5 発見 「そうか、~」
1245は「発見」、3だけ「決意」です。
よって、答えは3です。
「~のだ(んだ)」ような文型は、山ほどあるので、全部は覚えるのは不可能でしょう…。
私はこの種の問題は「出たとこ勝負!」です。
一応、「のだ(んだ)」の用法をまとめておきます。眺める感じで見てください!
(強めの)説明 | 早めに帰ります、息子の誕生日なんです。 すみません、電車が遅れたんです。 |
説明を求める | どうして遅れたんですか? 日本人って真面目なんじゃないんですか? |
主張 | 彼女のことが好きなんだ。 私は夫婦別姓に賛成なんです。 |
決意 | 絶対に合格するんだ。 留学するまでに、N2を取るんだ。 ※「決意」は大きく分けると、上の「主張の用法」に含まれる |
納得 | なるほど、そうなんだ。 へえ、それで、電車が込んでいたんだ。 |
言い換え | 彼は言い訳ばかりする。まだ子供なんだ。 要するに言いたいのは、「会話練習が足りない」ということなんです。 |
発見 | あっ、コンビニができたんだ。 えっ、マリアさん、N1落ちたんだ。 |
指示・命令・説得 | 明日、朝早いから、早く寝るんだ。 漢字は書いて覚えるんですよ。 |
※「指示・命令・説得」の用法は、文型辞典「~のだ」ではなく、「~んだ」で載っています。
(14)【「ところ」の用法 】 難易度 ☆☆★★★
「~ところ」の用法で一番よく使われるのは、行為や変化がどの時点であるか(アスペクト)を表すものです。「~ところだ」の形で、「~の時」という意味を表します。
◇ 動詞 辞書形 +ところ…直前を表す
例: ご飯を食べるところだ。 ちょうど映画が始まるところです。
◇ 動詞 ている +ところ…動作の進行中を表す
例:今、ご飯を食べているところだ。 ちょっと待ってください。今、確認しているところです。
◇ 動詞 タ形 +ところ…直後を表す
例: ご飯を食べたところだ。 たった今、家に着いたところです。
これだけの知識で、問題を見てみましょう。
1 「~ても」と言い換えられる。「~たところで」という文型。
2 「~ているところに~」→「時」(進行中)を表す。
3 「~するところで~」→「直前」か「直後」か定かではないが、いずれにしても「時」を表す。
4 「~たところで~」→「時」(直後)を表す。
5 「~していたところに~」→「~していた」になっているが、「時」(進行中)を表す。
2345は「時」を表す用法ですが、1は「時」を表す用法ではありません。
よって、答えは1です。
選択肢1の用法は「~たところで」という文型で、「~ても」に言い換えることができます。
「~ても、結果は無駄だ。」「~ても、結果は程度が低いものにしかならない。」という場合に使います。
例:いくら頑張ったところで、Aチームには勝てない。
YOUTUBEチャンネルを始めたところで、登録者数は50人もいかないだろう。
この問題も、大問1を解く方法の1つ「とりあえず、他の言葉で言い換えてみる」で、解ける問題ですね!
(15)【「れる・られる」の用法 】 難易度 ☆☆☆☆★
「れる・られる」には「受身」「可能」「自発」「尊敬」の4つの用法があります。
◇ 受身…父に叱られる 弟にケーキを食べられた この学校は3年前に設立された
◇ 可能…※漢字が書ける ※パンケーキが作れる パクチーが食べられる 8時に来られる
◇ 自発…人の意思によらず、自然に起こる現象・作用のこと。
ふるさとが思い出される 1日が短く感じられる
◇ ※尊敬…社長が午後から車を使われる。 社長は明日、出張されるそうです。
※ 五段動詞(Ⅰグループ)の可能形は「書かれる・作られる」ではなく「書ける・作れる」
※ 敬語の5分類(尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ・丁寧語・美化語)のうちの尊敬語で「れる・られる」を使う。
選択肢を見ていきましょう。
1 自発の用法
2 自発の用法
3 自発の用法
4 可能の用法 「高めることができる」と言い換えられる
5 自発の用法
1235は「自発」、4だけ「可能」の用法です。
よって、答えは4です。
1・2あたりを見て、「自発」だと気づくかがポイントですね。
なんか、4も自発のように見えなくもないですが…。
みなさんは「パクチーが食べられる」「パクチーが食べれる」どちらを使いますか。
「食べれる」という人のほうが多いのではないでしょうか。
「食べられる」の「ら」を抜いて、「食べれる」という言葉を「ラ抜き言葉」と言います。
一段動詞(Ⅱグループ)の可能形に起こる現象です。
「れる・られる」には、他の用法(受身・自発・尊敬)があり、それらと混同しないように、区分するために、発生した現象だと言われています。
文法的には正しくないので、規範的ではない間違った言葉だという指摘があります。
規範的ではない、若年層が使っている言葉という感じがしますが、実は、大正末期ぐらいに使われ始め、戦後に広まっていったと言われています。けっこう昔からあるんですね!
このような一般的に「正しくない」と言われる言葉にも、
「言葉の乱れ」→「言葉の揺れ」→「許容」→「定着」のように動いていく言葉もあります。
「ラ抜き言葉」が、今どの段階かは、はっきり言えませんが、皆が使用しているので「間違い」ということはできないでしょう。いつか、日本語のテキストの「可能形のⅡグループ」から「ら」が消える日が、来るかもしれませんね。
私は、日本語教師なので、一応「食べられる」と言うようにしています!
※「作れる」「帰れる」などは、「ラ抜き言葉」に見えますが、「ラ抜き言葉」ではありません。
これらはラ行五段動詞(Ⅰグループ)の可能形の普通の活用です。
例:「作る」→可能形「作れる」「帰る」→可能形「帰れる」
ご質問、ご相談等、お気軽にコメントをどうぞ。