(6)【転成名詞の意味】 難易度 ☆☆☆☆★
選択肢1~5は、「持つ(動詞)」→「持ち(名詞)」になった転成名詞なのですが、その知識は問題を解くのにあまり関係ありません。
【意味】を考えてみましょう!
1 かばんを持つ人
2 所帯を持っている人
3 金を持っている人
4 心の持ち様 または 心構え
5 力がある人
1235は「人」、4だけ「人」じゃありません。
よって、答えは4です。
この問題も知識というより、ひらめくかどうかですね。私はこの手の問題が苦手です…。
(7)【デ格の意味】 難易度 ☆★★★★
助詞「で」にはいろいろな用法があります。
後で用法を紹介しますが、まず、考えてみましょう。
1 原因・理由
2 方法・手段
3 方法・手段
4 方法・手段
5 方法・手段
1だけ「原因・理由」を表します。
よって、答えは1です。
助詞「で」の用法は、下記のようなものがあります。丸覚えする必要はありません。
「こんな用法も、あるんだなあ~」という感じで見ていただければと思います。
動作の場所 | レストランでご飯を食べる 教室で勉強する |
手段・方法 | 自転車で学校へ行く はしでご飯を食べる 英語で手紙を書く |
原因・理由 | 風邪で学校を休む 火事で家が焼けた 事故で電車が遅れた |
材料 | 木で本棚を作る このかばんは革でできている |
範囲 | 富士山は日本で一番高い山だ スポーツのなかで サッカーが一番好きだ |
動作の主体 | ポランティア団体で行う 国で対策を練る 自分でする ※「が」で置き換えられることがおおい。例:ボランティア団体が行う |
動作の主体の数的状態 | 一人で行く 3人で話し合った 家族で旅行に行った みんなで考えよう |
状態・様態 | 裸足で歩く 大声で泣く 普段着でお越しください |
必要な数量/十分な程度 | 1週間で覚える 3人で運べる 1年で英語が話せるようになった 100円で買える これで十分だ 来週でいい |
合計した数 | 5と3で8 全部でいくら? 往復で500円 |
~のときに | 20歳で会社をおこした ご飯を食べたあとで、歯を磨く |
(8)【補助動詞】 難易度 ☆☆☆★★
補助動詞とは、別の動詞に後続することにより文法的機能を果たす動詞で、それ自体の本来の意味は保っていない(前の動詞との組合せで意味を持つ)もののことです。
つまり、別の動詞にくっついて、本来の意味を保っていない動詞のことです。
1 座ってみる 「見る」という本来の意味を保っていないので、補助動詞。
2 持ってかえる 「帰る」という本来の意味を保っているので、補助動詞ではない。
3 飾ってある 「有る」という本来の意味を保っていないので、補助動詞。
4 忘れてしまう 「しまう」という本来の意味を保っていないので、補助動詞。
5 見えてくる 「来る」という本来の意味を保っていないので、補助動詞。
2だけ、補助動詞ではありません。
よって、答えは2です。
補助動詞ときたら、「(動詞の後部要素が)本来の意味を保っているか」に注目しましょう。
補助動詞について、詳しく書くと、下のようになります。(ややこしかったら飛ばしてください!)
補助動詞は一般的に、上の「座ってみる」「飾ってある」「忘れてしまう」「見えてくる」のように、動詞の連用形の「テ形」に接続するもののことを言います。平仮名で書かれることが多いです。
例:食べている 書いておく 教えてあげる 貸してもらう 等
※ 補助形容詞もあります。…貸してほしい 歩きやすい 食べにくい 等
しかし、「泣き出す」「食べすぎる」等、動詞の連用形「マス形」に接続する「複合動詞の後部要素」も、補助動詞に近いので、広義に「補助動詞」だいう捉え方もあります。
複合動詞は下のように分けられます。
◇ 語彙的複合動詞…後部要素が本来の意味を保っている複合動詞
例: 切り倒す 押り曲げる 歩み寄る 持ち上げる 等
◇ 文法的(統語的)複合動詞…後部要素が本来の意味を保っていない複合動詞
例: 泣き出す 食べ切る 歩み寄る 話し合う 等
ざっくり言うと、文法的(統語的)複合動詞の後部要素は、ほぼ「補助動詞」とイコールと考えてもいいです。
長々とすみません。かえってややこしくなりましたね。
要するに言いたいのは「補助動詞」の問題でも、「複合動詞の成り立ち方(語彙的複合動詞・文法的複合動詞)」という問題でも、「後部要素が本来の意味を保っているか」という点に注目しましょう。
ということです!
(9)【指定文と措定文(そていぶん)】 難易度 ☆☆★★★
◇ 指定文…「AはBだ」という文が「BはAだ」と言える文。※「A=B」の関係にある。
例:田中さんは あの人だ。→ 〇 あの人は 山田さんだ。
富士山は 日本一高い山だ。→ 〇 日本一高い山は 富士山だ
◇ 措定文…「AはBだ」という文が「BはAだ」と言えない文。
※ 包摂関係(AがBに含まれる関係)にある。
例:田中さんは 弁護士だ。→ ✖弁護士は 山田さんだ。
富士山は 高い山だ。→ ✖ 高い山は 富士山だ。
1 「男の人は私の先生だ」と言えないので、措定文。
2 「医師は山田さんだ」と言えないので、措定文。
3 「冷淡はあの人だ」と言えないので、措定文。
4 「有能は議長だ」と言えないので、措定文。
5 「あの人は院長だ」と言えるので、指定文。
5だけ措定文です。
よって、答えは5です。
「指定文・措定文」の意味がわからなくても、試験Ⅰの大問1を解く方法の1つ「語順を逆にしてみる」をやってみたら、勘がいい人はわかるかもしれませんね!
「指定文と措定文」はすぐわかります。でも、1週間ぐらい経ったら、どっちがどっちか忘れてしまいます。
措定文の方が問題になりやすいので、私は「BはAにならないのが措定文」とだけきっちり覚えています!
そのまま英語に訳すと、えらいことになりますね…。
「僕はうなぎを食べる」「ウナギを注文した」という意味ですね。
日本語では「~だ」や「~です」を用いて、わざわざ言わなくてもわかることを簡潔に言うことができます。(※日本語だけじゃありません。他の言語にもあります。)
このような文を「ウナギ文」と言います。
他の例:A:どうやって来ましたか?→B:「私は電車ですが、Cさんはバスです。」
A:芸能人で誰が好き?→B:「私は斎藤工!」C:「私は高田純次!」
このウナギ文も「措定文」です。
(10)【直接受身文における動作主の表示形式】 難易度 ☆☆★★★
日本語の受身文は「~れる」「~られる」で表現されます。
動作主は「に」を用いるのが一般的で、物の移動を表すときは「から」も用いることができます。
また、事物を主語にする場合は「によって」を用います。
◇(私は)部長( 〇に / ×から / ×によって )叱られた。
◇(私は)部長( 〇に / 〇から / ×によって )大量の資料を 渡された。
◇ あの絵は ゴッホ( ×に / ×から / 〇によって)描かれた。
1 女性の理想像は愚かな男性( ×に / ×から / 〇によって)生み出された。
2 金閣寺は足利義満( ×に / ×から / 〇によって )建てられた。
3 荒城の月という曲は滝廉太郎( ×に / ×から / 〇によって)作られた。
4 カンニングしているところを、先生( 〇に / ×から /×によって )見られた。
5 モナ・リザの絵はレオナルド・ダ・ヴィンチ( ×に / ×から / 〇によって )描かれた。
1235は動作主に「~によって」を用いますが、4だけ「~に」を用います。
よって、答えは4です。
☞ 令和元年度 試験Ⅰ 問題1 (11)~(15)
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